AIの営業電話は「迷惑」なのか?|「迷惑な電話」と「歓迎される電話」を分けるもの

「AIが営業電話をかけてくる」と聞いて、良い印象を持つ人は多くないと思います。実際、AIによる自動架電サービスが「迷惑だ」とSNSで批判を集めた事例は国内でも起きています。
私たちLeadsiaは、まさにその「電話をかけるAI」であるALICEを提供している会社です。だからこそ当事者として、この批判に対する私たちの見解をお話しします。
【前提】AIが人間に代わり電話をかける事は、日常になります
営業電話に限りません。予約の確認、キャンペーンのご案内、お支払いのご連絡——企業が人間のオペレーターにかけさせてきた電話は、遅かれ早かれAIに置き換わります。ニュースは負の側面を面白がって取り上げますが、水面下で置き換えは着々と進んでいます。すでに受ける側でも、スマートフォンの通話スクリーニングなどAIが電話に出る仕組みは日常になりつつあります。
だから「AIが電話をかけること自体の是非」を議論しても、あまり意味がありません。
問うべきは「どんなAIが、どんな振る舞いでかけてくるか」です。
批判されたのは「量」ではなく「振る舞いの粗さ」
過去に炎上した事例を見ると、批判の本質は自動化でも物量でもありません。時間を選ばずかかってくる。断っても止まらない。会話の質が低い。つまり人間の悪い営業を、安く無限に拡大コピーしたことが批判されたのです。
ここを取り違えると「AIの発信は控えめにすべき」という結論になりますが、それは違うと私たちは考えます。自動化はそもそも、人間にはこなせない量をこなすためにあります。ALICEも回線数を増やせば発信を並列にスケールできます。しかし、量を絞ることは答えではありません。制御すべきは量ではなく、振る舞いです。
ALICE・LYDIAが制御している4つの振る舞い
そしてAI架電の導入を検討される企業にとって、最大の不安は「自社の名前で発信される電話が、批判の対象にならないか」だと思います。以下の4つの制御は、機能である以前に、導入企業の評判を守るための仕組みです。
時間を守る。 発信できる時間帯・曜日・除外時間帯(昼休みなど)は設定され、その外には発信しません。夜間に鳴る営業電話は構造的に発生しません。
同じ相手にしつこくかけない。 再架電の間隔と回数は制御されます。通話中に相手が拒否の意思を示せば、その番号は禁止リストに記録され、以後の発信から除外されます。人間の営業組織で起こりがちな「断ったのにまたかかってきた」は、リスト管理を間違えないAIの方がむしろ確実に防げます。
暴走しない。 発信の連続上限とキャンペーンの自動停止機構があり、設定ミスや不具合があっても意図しない連続発信は起こりません。
名乗りを偽らない。 発信時の名乗りをどうするかは、導入企業の判断に委ねられています。その上で、私たちLeadsia自身の運用では「リードシアのアリス」と、AIであることがわかる名乗りを標準にしています。相手を騙して取ったアポイントには価値がないからです。AIだと明かした瞬間に切られるようなら、それは会話の質がその程度だということ。名乗った上で聞いてもらえる会話を作る——私たちはそこに注力しています。
量をこなし、人間より丁寧できめ細やかな対応
営業電話が嫌われがちな役回りであることは認めます。だからこそALICEは、その中で誰よりもわきまえた話し方をするよう作られています。会話の進め方にはSPIN Sellingをはじめとする営業科学の理論を組み込み、相手が自分の言葉で課題に気づく対話を設計しています。指示遵守率98.4%を含む5つの会話品質指標も公開しています。
そしてこれは営業以外でこそ、さらに際立ちます。たとえばキャンペーンのご案内やお支払いのご連絡。人間のオペレーターなら、案内内容から少しでも外れた質問には「申し訳ございません、私ではわかりかねますので、後ほど担当からお電話いたします」と答えるのが精一杯です。それはオペレーターの怠慢ではなく、一人の人間に持たせられる知識の限界です。AIにはその限界がありません。会社の商品・料金・規約を丸ごと把握した上で、どの方向から来た質問にも、その場で、丁寧に答えられます。電話の向こうにいるのが「マニュアルの範囲しか答えられない人」から「全部知っていて礼儀正しい存在」に変わる。これは受ける側にとっても改善です。
品質は、リリース日ではなく運用の中で作られる
会話の品質は、リリース時点で完成するものではありません。ALICEの品質管理は二つの自動ループで回っています。
一つ目は学習ループです。毎晩、その日の全通話をAIが解析し、スクリプトの改善案を差分として生成します。人間が承認したものだけが翌日の会話に反映される。つまりALICEは、使われるほど会話が磨かれていく構造を持っています。
二つ目は顧客運用の自動監視システムです。導入いただいた全顧客の運用状態——設定の不備、機会の取りこぼし、利用の低下——をAIが24時間監視し、問題を検知すると改善提案を自動で届けます。「先週、この時間帯に3件のお電話を取り逃しています。営業時間の設定を変更しませんか」という具合です。従来この仕事は、人間のカスタマーサクセスが定期訪問やレポート作成で担ってきました。しかし人間の巡回では、全顧客を毎日見ることは物理的にできません。機械は、できます。顧客が問題に気づく前に、システムの側が気づいて直しに来る——私たちが目指しているのはその状態です。
どちらのループも、AIが監視し提案する、人間は承認と例外だけを判断する、という役割分担で回っています。判断を機械に明け渡すのではなく、判断の材料を機械速度で人間に届ける。私たちは顧客に「電話業務のゼロタッチ運用」を約束していますが、その品質を支える自社の運用もまた、同じ思想で作っています。
本当の答えは、賢さと速さ
歯止めの仕組みは大事です。しかし私たちは、それが最終的な答えだとは思っていません。
どんな仕組みで守っても、会話そのものが愚かなら電話は迷惑です。逆に、圧倒的に賢く、感じが良く、相手の時間に見合う価値を返す会話なら、批判の多くは成立しなくなります。品質への批判に対する本当の防御は、規制対応でも自粛でもなく、『叡智』そのものです。
そしてもう一つが改善の速度です。Leadsiaでは、問題が見つかってから仕様を変更して本番に反映するまでが日単位、ときには半日で完結します。これを高速で回し続けられることが、AI時代のプロダクトの品質保証であると私たちは考えています。
よくある質問
Q. ALICEは深夜に電話をかけてきますか? A. かけません。発信時間帯・曜日・除外時間帯は設定に基づいて制御され、その範囲外には発信しません。
Q. 「もうかけないでほしい」と伝えたのにまた電話が来ることはありますか? A. 拒否の意思を示した番号は禁止リストに記録され、以後の発信対象から除外されます。
Q. 相手はAIだと気づかないのではありませんか? A. 発信時の名乗りは導入企業が設定できます。Leadsia自身の運用では「リードシアのアリス」とAIであることがわかる名乗りを標準とし、導入企業にも推奨しています。名乗った上で聞いてもらえる会話を作ることが、私たちの設計方針です。
Q. 導入企業側で、発信時間や再架電のルールは変更できますか? A. できます。発信時間帯・曜日・除外時間帯、再架電の間隔と回数は、すべて導入企業側の設定で制御できます。
Q. 万一、発信先からクレームが発生した場合はどうなりますか? A. 該当番号は即座に禁止リストへ登録され、以後の発信から除外されます。全通話は記録・解析されているため、該当通話の内容確認と原因の特定、スクリプトの修正までを迅速に行えます。
Q. AI営業電話は違法ではないのですか? A. 日本において法人向けのAI架電自体を禁止する法律はありません(2026年7月時点)。特定商取引法の電話勧誘規制は主に消費者向けが対象です。Leadsiaは法令遵守に加え、発信時間帯の制御などを標準機能として備えています。
Q. 導入した後の品質はどう保たれますか? A. 毎晩の全通話解析によるスクリプト改善ループと、全顧客の運用状態を24時間監視する自動監視システムが稼働しています。設定不備や機会の取りこぼしを検知すると、改善提案が自動で届きます。
執筆者

岡 龍助 (Ryusuke Oka)
代表取締役 CEO / 株式会社Leadsia
ダイレクトマーケティング・テレマーケティング・ブランドコンサルティング・マルチメディアプランニングなど複数の起業経験を持つシリアルアントレプレナー。日本のB2B営業の現場知見をAIエージェントの会話設計に注ぎ込み、セールステックSaaS「Leadsia」を創業。「声に知性を宿す、音声AIエージェント」をテーマに、AI受付のSOPHIA・AI営業のALICE・AI営業+メール機能のLYDIAを提供している。人間を介さない「ゼロタッチ運用」を基盤に、AIファーストマネジメントによる自律的AI経営を実践中。



